アディダス ハイパーブースト エッジ レビュー|2年越し開発の新世代フォームは「ブーストの再発明」か 👟🔥
ブースト、進化する。
アディダス ハイパーブースト エッジ徹底レビュー——2年越しの開発が生んだ新世代ビーズフォームの実力を検証する
2024年、レビュアーのクジは招待を受けてドイツのアディダス本社を訪問した。本社の地下室——ブランドアーカイブの隣に位置する秘密のテストラボで、3種類の新しいミッドソール素材をブラインドテストする機会を得た。1つ目は及第点以下。2つ目はまずまず。しかし3つ目を踏んだ瞬間、彼は思わず「ブースト、復活した」と口にしたという。
その素材の名はハイパーブースト プロ(Hyperboost Pro)。ライトストライク プロのePEBAコンパウンドを再設計してペレット化した、次世代ビーズフォームだ。開発陣に「まだリリースできる段階ではない」と言われたあの日から約2年、そのシューズがついに市場に登場した。それがアディダス ハイパーブースト エッジである。
| 項目 | スペック | 備考 |
|---|---|---|
| ミッドソール | ハイパーブースト プロ | ePEBAビーズフォーム(単層) |
| ヒールスタック高 | 45mm | 前足部39mm |
| ドロップ | 6mm | RunRepeat実測値6.5mm |
| 重量 | 255g(27.0cm) | アディダス ジャパン公式値 |
| アッパー | プライムウィーブ(PRIMEWEAVE) | TPUベース、軽量ウーブン素材 |
| アウトソール | ライトトラクション(LIGHTTRAXION) | フルレングス、アディゼロ由来 |
| シャンク / トーションバー | なし | 純粋なフォームのみ構成 |
| エネルギーリターン | 73.6% | RunRepeat実験室計測(ASTM F1976) |
従来のブーストがTPEE(熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー)ベースだったのに対し、ハイパーブースト プロはePEBA(膨張ポリエーテルブロックアミド)ビーズを超臨界発泡させた素材だ。アディゼロシリーズのレーシングフォームであるライトストライク プロから着想を得た配合で、エリートレース技術を日常トレーニングの世界に初めて持ち込んだ形といえる。
- トーションバー・シャンク:完全に排除
- カーボンプレート:なし(フォームのみ)
- デュアルフォーム構成:なし(単一素材)
- スリーストライプス:ミッドソールに初配置
プライムウィーブ(PRIMEWEAVE)はTPUベースの軽量ウーブン素材で、バスケットボール分野では実績があるが、ランニングシューズへの採用はアディダスとして初の試みとされる。外見上の最も大きな変化は、スリーストライプスがアッパーからミッドソールへと移動したこと。パンツやジーンズと合わせた際にストライプスが常に見えるよう意図した設計だ。
ヒールカップにはコンフォートパッド(アディダスの呼称)が設けられており、多様なヒールサイズへの適応性を高める。ラシングシステムは、クロスポイントが表面から見えない設計の「インセット型」で、すっきりしたシルエットに一役買っている。
ランニングシューズの通常サイズで問題なし。ウルトラブーストに見られた「つま先が余る」問題は解消されている。ただしタイトなつま先形状のため、幅広の足には要試着。
プライムウィーブはやや厚みのある素材。ヒール周りのホールド感は強いが、長距離走行中でも過度な熱を感じなかったという報告が複数ある。
レビュアーが最も強調したのは、45mmという圧倒的なスタック高を持ちながら、単なる「柔らかいだけ」のシューズではないという点だ。足が着地するとフォームが適度に圧縮され、そのコンプレッションが心地よいタイミングでスナップバックする。その感触が、自然とペースを上げたくなる推進力を生み出す。
「スーパートレーナー」カテゴリーには強力なライバルが揃う。ハイパーブースト エッジはどのように差別化されるのか。
| モデル | フォーム | 重量(27cm相当) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| ハイパーブースト エッジ | ハイパーブースト プロ(ePEBA) | 255g | バウンシーで汎用性が高い。プレートなし |
| アシックス スーパーブラスト 3 | FF LEAP + EVA | 231g | より柔らかくダイナミック。ロングランに強い |
| ナイキ ペガサス プレミアム | ZoomX + ReactX | 約312g | デザイン面は秀逸。ただし重量が大幅に増す |
| アディダス エボ SL | ライトストライク プロ | 約215g | 軽量・爽快感。スピードランに特化 |
| アディダス ボストン 13 | ライトストライク プロ + エナジーロッド | 約245g | デイリートレーニング〜スピードロング対応 |
| アディダス ウルトラブースト 5X | ライトブースト | 約310g | 快適性重視。ランウォーク・カジュアル向け |
ハイパーブースト エッジは、アディダスが長年取り組んできた課題に対する一つの回答だ。ブーストの親しみやすさと、レーシングフォーム由来の反発性を単一素材で実現し、デイリートレーナーとしての汎用性を獲得した。2013年のブースト登場以来、最も意義のあるミッドソール進化といえる。
- リカバリーランからスピードロングまで一足でこなしたい
- カーボンプレート不要でマラソンを快適に走りたい
- ミッドフット〜フォアフット着地のランナー
- アディダスの世界観とスタイルを好むランナー
- ヒール着地が強く、ヒールトランジションにデリケートな人
- 幅広足で広いトゥボックスが必要な人
- コストパフォーマンスを最優先するならエボ SLが有力
- トレイルや未舗装路での使用を想定しているランナー
「私はずっと、アディダスがこのシューズを作れると信じていた。そして今、それが現実になった。踏むたびに走りに行くのが楽しみになる——そういうシューズだ。」
— クジ(エリートランナー / レビュアー)