レビュー

アディダス ハイパーブースト エッジ レビュー|2年越し開発の新世代フォームは「ブーストの再発明」か 👟🔥

デイリートレーナー · 2026
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ブースト、進化する。

アディダス ハイパーブースト エッジ徹底レビュー——2年越しの開発が生んだ新世代ビーズフォームの実力を検証する

45mm
ヒールスタック高
255g
重量(27cm)
6mm
ドロップ
+22%
エネルギーリターン向上
2年間の沈黙を破る誕生秘話

2024年、レビュアーのクジは招待を受けてドイツのアディダス本社を訪問した。本社の地下室——ブランドアーカイブの隣に位置する秘密のテストラボで、3種類の新しいミッドソール素材をブラインドテストする機会を得た。1つ目は及第点以下。2つ目はまずまず。しかし3つ目を踏んだ瞬間、彼は思わず「ブースト、復活した」と口にしたという。

その素材の名はハイパーブースト プロ(Hyperboost Pro)。ライトストライク プロのePEBAコンパウンドを再設計してペレット化した、次世代ビーズフォームだ。開発陣に「まだリリースできる段階ではない」と言われたあの日から約2年、そのシューズがついに市場に登場した。それがアディダス ハイパーブースト エッジである。

💡 開発経緯:アディダス ランニング GMのパトリック・ナバによれば、開発はおよそ2年半前に開始。最大の課題はビーズフォームの密度調整だった——低すぎると耐久性が損なわれ、高すぎると重くなりすぎる。最適な密度にたどり着いたのは約1年半前のことだという。
主要スペック
specs memo
項目 スペック 備考
ミッドソール ハイパーブースト プロ ePEBAビーズフォーム(単層)
ヒールスタック高 45mm 前足部39mm
ドロップ 6mm RunRepeat実測値6.5mm
重量 255g(27.0cm) アディダス ジャパン公式値
アッパー プライムウィーブ(PRIMEWEAVE) TPUベース、軽量ウーブン素材
アウトソール ライトトラクション(LIGHTTRAXION) フルレングス、アディゼロ由来
シャンク / トーションバー なし 純粋なフォームのみ構成
エネルギーリターン 73.6% RunRepeat実験室計測(ASTM F1976)
ミッドソール
素材ハイパーブースト プロ(ePEBA単層)
スタック高
ヒール45mm
前足部39mm
重量
27cm255g(公式値)
ドロップ
公称6mm
エネルギーリターン
実測73.6%(RunRepeat)
アッパー
素材プライムウィーブ(TPU)
プレート
有無なし(フォームのみ)
UNIVERSITY OF COLOGNE 実証研究
5人中4人
ケルン大学が60名のランナーを対象に実施した研究で、80%のランナーがハイパーブースト エッジを自身の現在のシューズより柔らかいクッショニングと評価。さらに73%がエネルギーリターンを好ましいと回答し、新世代フォームの優位性を科学的に裏付けた。
ハイパーブースト プロ:技術解説

従来のブーストがTPEE(熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマー)ベースだったのに対し、ハイパーブースト プロはePEBA(膨張ポリエーテルブロックアミド)ビーズを超臨界発泡させた素材だ。アディゼロシリーズのレーシングフォームであるライトストライク プロから着想を得た配合で、エリートレース技術を日常トレーニングの世界に初めて持ち込んだ形といえる。

従来ブーストとの比較
軽量性40%以上軽量
エネルギーリターン+22%
構造上の革新
  • トーションバー・シャンク:完全に排除
  • カーボンプレート:なし(フォームのみ)
  • デュアルフォーム構成:なし(単一素材)
  • スリーストライプス:ミッドソールに初配置
設計思想:「一枚のフォームが、クッショニング・反発・安定性のすべてを担う」——デュアルフォームに依存せず、単一素材の完成度で三要素を両立したのが最大の特徴だ。
アッパーとフィット感

プライムウィーブ(PRIMEWEAVE)はTPUベースの軽量ウーブン素材で、バスケットボール分野では実績があるが、ランニングシューズへの採用はアディダスとして初の試みとされる。外見上の最も大きな変化は、スリーストライプスがアッパーからミッドソールへと移動したこと。パンツやジーンズと合わせた際にストライプスが常に見えるよう意図した設計だ。

ヒールカップにはコンフォートパッド(アディダスの呼称)が設けられており、多様なヒールサイズへの適応性を高める。ラシングシステムは、クロスポイントが表面から見えない設計の「インセット型」で、すっきりしたシルエットに一役買っている。

サイズ選び

ランニングシューズの通常サイズで問題なし。ウルトラブーストに見られた「つま先が余る」問題は解消されている。ただしタイトなつま先形状のため、幅広の足には要試着。

通気性

プライムウィーブはやや厚みのある素材。ヒール周りのホールド感は強いが、長距離走行中でも過度な熱を感じなかったという報告が複数ある。

走行インプレッション
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レビュアーが最も強調したのは、45mmという圧倒的なスタック高を持ちながら、単なる「柔らかいだけ」のシューズではないという点だ。足が着地するとフォームが適度に圧縮され、そのコンプレッションが心地よいタイミングでスナップバックする。その感触が、自然とペースを上げたくなる推進力を生み出す。

🧘
易強度ラン
リカバリーランや長距離ゆっくりジョグでも十分な快適性を発揮
💪
デイリートレーニング
汎用性が最も高い領域。フォームの弾性が日常練習のすべてのペースをカバー
スピード系ロングラン
ファルトレクや変速ロングランでフォームの反発性が際立つ。フルマラソンの選択肢にも
⚠️ 注意点:ヒール着地が強いランナーは注意が必要。ヒールフレアが大きくかつヒールベベルが浅いため、ヒール着地のトランジションがやや角張った感触となり、スネの筋肉への負担を感じる場合がある(Doctors of Running 報告)。ミッドフット〜フォアフット着地のランナーにより適している。
評価まとめ
優れている点
圧倒的なクッショニングとフォームの弾性が両立
45mmスタックにもかかわらず255gという軽量性
易強度からスピード系まで幅広いペース域に対応
アウトソールの耐久性が高く、長距離使用でも摩耗が少ない
カーボンプレート不要の非プレートシューズとして業界最高水準のエネルギーリターン
スタイリッシュなデザインで日常使いにも馴染む
課題となる点
ヒールフレアが強くヒールベベルが浅いため、ヒール着地時の移行がぎこちなくなる場合がある
つま先形状がタイトで、幅広足には窮屈に感じる可能性がある
アディゼロ エボ SLやボストン13など同ブランドの他モデルと比較してコストが高い
トレイルや未舗装路での使用には不向き(ロード・トラック専用設計)
競合シューズとの比較

「スーパートレーナー」カテゴリーには強力なライバルが揃う。ハイパーブースト エッジはどのように差別化されるのか。

モデル フォーム 重量(27cm相当) 特徴
ハイパーブースト エッジ ハイパーブースト プロ(ePEBA) 255g バウンシーで汎用性が高い。プレートなし
アシックス スーパーブラスト 3 FF LEAP + EVA 231g より柔らかくダイナミック。ロングランに強い
ナイキ ペガサス プレミアム ZoomX + ReactX 約312g デザイン面は秀逸。ただし重量が大幅に増す
アディダス エボ SL ライトストライク プロ 約215g 軽量・爽快感。スピードランに特化
アディダス ボストン 13 ライトストライク プロ + エナジーロッド 約245g デイリートレーニング〜スピードロング対応
アディダス ウルトラブースト 5X ライトブースト 約310g 快適性重視。ランウォーク・カジュアル向け
アシックス スーパーブラスト 3
強み より軽量でダイナミック。ロングランに最適
留意点 安定性はハイパーブーストに一歩譲る
ナイキ ペガサス プレミアム
強み デザイン性が高くランは楽しい
留意点 約57g重い。長距離では疲労感が出やすい
アディダス アディゼロ エボ SL
強み 軽量でスピード感抜群。コストパフォーマンスが高い
留意点 クッション性はハイパーブーストに及ばない
編集部の見解:スーパーブラスト3との比較はとりわけ難しい。同価格帯で「よりバウンシーな体験を求めるならハイパーブースト エッジ」「より柔らかくダイナミックな体験を求めるならスーパーブラスト3」という棲み分けだ。どちらも入手する価値があるが、一足を選ぶなら走るスタイルと好みによる。
総合評価

ハイパーブースト エッジは、アディダスが長年取り組んできた課題に対する一つの回答だ。ブーストの親しみやすさと、レーシングフォーム由来の反発性を単一素材で実現し、デイリートレーナーとしての汎用性を獲得した。2013年のブースト登場以来、最も意義のあるミッドソール進化といえる。

✓ こんな人に最適
  • リカバリーランからスピードロングまで一足でこなしたい
  • カーボンプレート不要でマラソンを快適に走りたい
  • ミッドフット〜フォアフット着地のランナー
  • アディダスの世界観とスタイルを好むランナー
✗ 別のシューズを検討すべき人
  • ヒール着地が強く、ヒールトランジションにデリケートな人
  • 幅広足で広いトゥボックスが必要な人
  • コストパフォーマンスを最優先するならエボ SLが有力
  • トレイルや未舗装路での使用を想定しているランナー

「私はずっと、アディダスがこのシューズを作れると信じていた。そして今、それが現実になった。踏むたびに走りに行くのが楽しみになる——そういうシューズだ。」

— クジ(エリートランナー / レビュアー)

画像出典:本ページの製品画像はadidasの公式プレスリリース素材を使用しています(news.adidas.com / TheNewsMarket)。画像の著作権はadidasに帰属します。本記事はadidasとは独立したレビュー記事であり、ブランドとは関係ありません。
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