ジェフリー・サックス教授「我々はすでに第三次世界大戦の初期段階にある」——米覇権主義の末路と国連崩壊を読む 🌍⚠️
「我々はすでに
第三次世界大戦の
初期段階にある」
コロンビア大学のジェフリー・サックス教授が語る――米国のイラン攻撃、崩壊する国連秩序、そして覇権主義の歴史的必然
最も非整合な国
国連機関の数
危険な局面
歴史的連続性
米国とイスラエルによるイランへの攻撃が開始されてから2週目に入った今、サックス教授はインタビューの冒頭でトランプ政権の「戦略」という言葉自体に疑問を呈した。
「戦略という言葉はトランプに対して使う言葉としては大きすぎる。私が把握できるのは、当初の期待に対する根本的な混乱、作戦目標の不明確さ、そして地上の実態に対する無理解だ。いわゆる『戦争の霧』に覆われているが、今や問題なのはワシントン自体が霧の中にいるということだ」と教授は述べた。
サックス教授は、現在進行中の複数の紛争がゆるやかに連動していると分析する。以下は教授が言及した主要な紛争・緊張地域だ。
サックス教授は毎年、国連整合性指数(UN-aligned multilateralism index)を算出しているが、今回の攻撃以前の時点でも、米国は193の国連加盟国の中で最も国連プロセスとの整合性が低い国だったと述べた。
国連憲章第2条4項は「いかなる国も他国に対して武力行使または武力による威嚇を行ってはならない」と規定している。サックス教授によれば、米国政府はこの根本原則を公然と嘲笑している。
30以上の国連機関から離脱。核軍備管理条約の廃棄。国連分担金の不払い継続。
国連総会の投票でイスラエル・パラグアイなどと少数派を形成。世界の意志に反し続けて投票。
米国が国連を破壊する中、欧州は一切批判せず追従。国連安保理で欧州大使たちはイランのみを非難し攻撃した側に言及せず。
サックス教授は欧州の現状を「完全にアイデンティティを失い、方向感覚を喪失した」と厳しく批判した。欧州連合は戦略的自律の達成どころか、米国の従属国として崩壊しつつあると教授は分析する。
サックス教授は歴代独首相(ブラント、シュミット、コール、シュレーダー、メルケル)と比較し、「メルツはドイツの軍国主義への回帰を望んでいるように見える。無知で好戦的、米国への媚びと軍拡をセットにした惰性の政治だ」と述べた。
サックス教授は国連安保理でのデンマーク大使の行動を「超現実的」と評した。米国がグリーンランド接収を示唆する中、デンマーク自身が国際法に依存せざるを得ない立場であるにもかかわらず、イラン攻撃を批判せず。
「安全保障は恐れられることで初めて達成できる」という論理でより多くの核兵器が必要だと主張。欧州の建国理念であった「戦後平和構築プロジェクト」からの決別を体現している。
シューマン、モネ、ドゴール、ミッテランといった欧州の創設者たちは第二次世界大戦の惨禍を知り、第三次世界大戦の回避を自らの使命とした。現在の指導者たちはその記憶を完全に失っている。
サックス教授は、米国の対外政策が数十年にわたりCIA主導の帝国主義的レジーム変更路線をたどってきたと分析する。トランプはそれを公言するだけで、本質的な路線は変わっていないと教授は指摘する。
サックス教授は「多極主義は1945年に誕生し、同じ年に死んだ」と喝破する。その歴史的転換を以下に整理する。
米英ソ中の4大国が協調して世界の平和を維持するという構想。ルーズベルトはチャーチルを傍らに置きながらもスターリンとの協力関係を重視。英帝国に批判的で、「善隣外交(Good Neighbor Policy)」の延長として世界共存を志向した。
未治療の高血圧により急死。後継のトルーマンは格的に力量で劣り、即座に「反ボルシェヴィズム戦争」路線に転換。1945年後半には既に対ソ覇権争いが始まっていた。広島・長崎への原爆投下もスターリンへの示威行動だったとサックス教授は解釈する。
国家安全保障会議文書68号(NSC-68)により、米国は「世界共産主義との覇権争い」を国家戦略として明文化。多極主義の理念は完全に廃棄された。
ソ連崩壊を受け、世界人口の4%にすぎない国が世界を支配できるという妄想が加速した。ズビグニュー・ブレジンスキーが1997年の著書『ブレジンスキーの世界はこう動く(The Grand Chessboard)』でその妄想を「ロシアはNATO東方拡大に抵抗できない」と明記した。これがウクライナ戦争の遠因だとサックス教授は分析する。
イスラエルという「ナイル川からユーフラテス川までの覇権を目指すローグ国家」が引き金を引き、米国の覇権主義プロジェクトと完全に一致する形で世界規模の戦争が始まった。
サックス教授は現在の対立を哲学的な次元で解読する。英米の政策エリートに深く根付く「覇権主義思想」の源泉はトマス・ホッブズの政治哲学にあるという。
サックス教授は閉塞した状況の中で、かろうじて希望の糸を見出す。「この狂気を止める可能性が最も高いのは中国とロシアだ。彼らは成熟した自覚を持ち、米国の覇権プロジェクトを喜んでいない」と述べた。
ベネズエラ、ロシア、イランの石油供給を断たれようとしている。戦略的パートナーであるイランを支援しない理由がないとサックス教授は分析。
首脳部への攻撃(「斬首作戦」)を受けたイランに、抑止力の再建を迫られるモスクワ。米国がウクライナに情報提供するように、ロシアもイランに情報提供する可能性。
「英国に数世紀支配された経験があるなら、米帝国主義の論理には従わないはずだ」とサックス教授。しかしインドは現在、米国の対中包囲網に一定程度加担しており、自国の利益を見誤っているとの見方を示した。
サックス教授はインタビューを次のような言葉で締めくくった。「トランプがイランの次の最高指導者を自分が指名すると言い続け、無条件降伏を目指し続けるならば、事態はすべて軍事的帰結に委ねられる。現実的なシナリオとして、イスラエルと米国が引き起こした世界的な経済危機が到来するかもしれない――それは長期間目にしたことのない規模になるだろう」
- 個人的妄想と機関的覇権主義の組み合わせ
- 核時代における史上初の「全世界支配」志向指導者
- 欧州の全面的服従による均衡破綻
- エネルギー供給危機の連鎖的波及
- 国連・国際法という最後の歯止めの機能不全
- 「誰かが皇帝ドナルドに『これは良い考えではない』と言う」こと
- 中国・ロシアによる戦略的均衡の維持
- インドが自国の植民地史から教訓を学ぶこと
- 欧州が独自の戦略的自律を取り戻すこと
- 実用主義的な外交によるルールに基づく多極秩序の再建