レビュー

アシックス スーパーブラスト3レビュー:FF LEAPを搭載した最大クッションデイリートレーナーへの転身 👟

ランニングシューズ レビュー · 2026
ランニングシューズ

SUPERBLAST 3 — 進化か、それとも転換か

アシックスの看板プレートレストレーナーが3世代目で大きな方向転換。FF LEAPフォームを搭載しながらも、ブラストシリーズの中でポジションを「マックスクッション日常トレーナー」へと移した。

239g
重量(US9 / 27cm)
46.5mm
ヒールスタック高
8mm
ヒールトゥドロップ
2層
FF LEAP + FF BLAST+
asics-superblast-3-running-lifestyle-2026
© ASICS Corporation / ASICS EMEA Newsroom
SUPERBLASTシリーズの歩み
メダル
2020–2021
META SPEED PLUSシリーズの開発

META SPEED PLUSの開発過程で、アシックスのテスターたちはプレートなし仕様のメタスピードを長距離ランで試験。その高い評価が、新シューズのコンセプトを生んだ。

2022–2023
SUPERBLAST 1 — カテゴリーを創る

プレートレスのマックスクッショントレーナーとして登場。FF TURBOフォームをトレーニングシーンへ持ち込んだ先駆的な一足。発売当初は同等の競合がほぼ存在しなかった。

2024
SUPERBLAST 2 — 快適性を高めた”QOL改善版”

よりトレーニング向けのアッパーや各所の改良により快適性が向上。ただしオリジナルが持っていた「鋭い反発感」はわずかに薄れたとの評価も。

2026
SUPERBLAST 3 — マックスクッション日常トレーナーへの転換

FF LEAPフォームを採用し軽量化を達成しつつも、FF BLAST PLUSの比率が大幅に増加。ポジションをパフォーマンストレーナーからマックスクッション日常トレーナーへと移行。

主要スペック比較:SUPERBLAST 2 vs 3
スペック SUPERBLAST 2 SUPERBLAST 3
重量(US9 / 27cm) 249g 239g (10g軽量化)
ヒールスタック高 45mm 46.5mm (+1.5mm)
フォアフットスタック高 37mm 38.5mm (+1.5mm)
ヒールトゥドロップ 8mm 8mm
ミッドソール(上層) FF TURBO PLUS FF LEAP(A-TPU)
ミッドソール(下層) FF BLAST PLUS FF BLAST PLUS(増量)
アウトソール ASICSGRIP ASICSGRIP + AHARLO
ライドプロファイル エネルギッシュ ソフト・ムーシー
重量(US9 / 27cm)
SB3239g
SB2249g
ヒールスタック高
SB346.5mm
SB245mm
フォアフットスタック高
SB338.5mm
SB237mm
ドロップ
SB38mm
SB28mm
上層フォーム
SB3FF LEAP
SB2FF TURBO+
ライドプロファイル
SB3ソフト
SB2エネルギッシュ
asics-superblast-3-cobalt-burst-light-orange-front
Cobalt Burst / Light Orange
asics-superblast-3-official-product-shot-2
公式プロダクトショット
asics-superblast-3-official-product-shot-3
公式プロダクトショット
© ASICS Corporation / ASICS EMEA Newsroom — 公式プレス素材
ミッドソール構成の核心
80:20 → 55:45
SUPERBLAST 1・2では上層フォーム(FF TURBO系)が約80%を占めていた。SUPERBLAST 3ではFF BLAST PLUSの層が大幅に厚くなり、比率はほぼ拮抗している。このFF BLAST PLUSがFF LEAPのエネルギーリターンを吸収してしまい、「ムーシー」な踏み感を生んでいる。
ミッドソール構造:FF LEAPが活かされない理由

SUPERBLAST 3のミッドソールは2層構造だ。足に最も近い上層にはアシックスのレーシングシューズ(META SPEED RAY、META SPEED SKY TOKYO等)と同じFF LEAPフォームを採用。柔らかく、高いエネルギーリターンを持つA-TPU素材だ。問題は下層のFF BLAST PLUSにある。

上層 — FF LEAP(A-TPU)
レーシング用最高峰フォーム

META SPEEDシリーズと同じ素材。柔らかく、踏み込むと優れた反発を返す。着地時の第一印象は非常に快適で上品。

下層 — FF BLAST PLUS(EVA系)
安定性・耐久性のための副素材

公称約10mm厚だが、実測では1.5〜4cm近くに達する部分も。FF LEAPが圧縮されると次にこの層が沈み込み、エネルギーリターンをほぼ打ち消す。

FF LEAPの体感エネルギーリターン(META SPEEDと比較) 30%
FF BLAST PLUS下層により大部分が吸収される
安定性(マックスクッションカテゴリー内での相対評価) 95%
カテゴリー最高水準の安定性
ライド快適性(長距離イージーラン) 88%
低速域での保護性・快適性は高い
スレッショルドペース以上での応答性 25%
速いペースではムーシー感が顕著になる
💡 ポイント:FF LEAPはメタスピードレイにも使われる傑出したフォームだ。しかしMETA SPEEDではFF LEAPを圧縮した後、カーボンプレートがエネルギーを引き取って推進力に変える。SUPERBLAST 3にはプレートがなく、圧縮した先にあるのはエネルギーを吸収するFF BLAST PLUSのみ。これが「FF LEAPを積んでいながらMETA SPEEDとは全く異なる踏み感」を生む根本的な理由だ。
asics-superblast-3-midsole-structure
ミッドソール構造
asics-superblast-3-forefoot-detail
フォアフット詳細
© ASICS Corporation / ASICS EMEA Newsroom
アッパーとフィット感

アッパーはSUPERBLAST 2から進化したエンジニアードウーブンメッシュを採用。前モデルよりも柔らかくストレッチ性が高く、足全体に自然に添う仕上がりだ。トゥボックスは幅が広がり、ボリュームも増量。ファストナーレース(コードループ式)の採用で、締め付けすぎずに安定したロックダウンが得られる。

サイジング推奨

SUPERBLAST 2と同サイズで試着を。トゥボックスが広くなったため、前作ユーザーはより快適なフィットを感じるはず。

10g軽量化の恩恵

スタック高が増えながらも10g軽くなった。239g(27cm)はこのサイズの靴としては依然として軽い部類に入る。

レビュアーによっては、約20kmの走行中に靴のバルクが大きすぎて反対側の足首に当たるケースが報告されている。これはSUPERBLASTシリーズ特有のシューズの大きさに起因するものとみられる。

2026年のBLASTシリーズ全体像

アシックスはBLASTシリーズを明確に再編した。NOVABLASTを中心に、一方向にはマックスクッション側のSUPERBLASTが、もう一方向にはパフォーマンス側のMEGABLAST・SONICBLASTが配置される。この役割分担を理解することがシューズ選びの鍵だ。

マックスクッション
SUPERBLAST 3
イージーラン〜ステディペースに最適。クッション性・安定性重視ランナーの選択肢。
日常トレーニングの軸
NOVABLAST 6
BLASTシリーズの中核。バランスのとれた反発と快適性でオールラウンドに使える。
パフォーマンス重視
MEGABLAST / SONICBLAST
FF TURBO Squaredを搭載。スレッショルドからレースペースまで対応する高反発トレーナー。
アシックス担当者のコメント(要旨):SUPERBLAST 3を快適性・保護性重視のマックスクッションシューズとして明確に位置づけ、パフォーマンス面のヒーローはMEGABLASTに担わせる判断を意図的に行った。
他モデルとの比較
モデル 主な特徴 強み 弱点
SUPERBLAST 3 FF LEAP + FF BLAST+
プレートなし
最高峰の安定性・クッション性・軽量性 高速域での反発感の欠如・ムーシー感
MEGABLAST FF TURBO Squared
プレートなし
高い反発性・スレッショルドまで対応 SUPERBLAST 3より安定性で劣る
SUPERBLAST 2 FF TURBO PLUS主体
プレートなし
エネルギッシュなライド・マラソンペース対応 SB3比で重く、クッションも低め
NIMBUS 28 FF BLAST PLUS全層
PURE GEL搭載
イージーラン・リカバリーに最適 パフォーマンス性は低い
Saucony Endorphin Azura 高反発フォーム
プレートなし
汎用性が高く、イージー〜マラソンペース対応 SB3の安定性には及ばない
MEGABLAST
強みFF TURBO Squared搭載で高反発。スレッショルドまで対応
弱点SB3と比較して安定性が劣る
SUPERBLAST 2
強みエネルギッシュなライド。マラソントレーニングに最適
弱点SB3より重く、クッションも低め
NIMBUS 28
強みイージーラン・リカバリーに最適化
弱点パフォーマンス性は低い
Saucony Endorphin Azura
強み汎用性が高く、イージーからマラソンペースまで対応
弱点SB3の安定性・クッション量には及ばない
✅ 重要な補足:「SUPERBLAST 2が好きだったが、さらにダイナミックなシューズを探している」ランナーには、むしろSaucony Endorphin Azuraが後継モデルに近い体験を提供する、とレビュアーは指摘する。SUPERBLAST 3とSUPERBLAST 2はシリーズ名こそ同じだが、性格は大きく異なっている。
総合評価:良い点と気になる点
良い点
カテゴリー随一の安定性。幅広のプラットフォームとデュアルフォームが非常に安定したランニングを実現する
246.5mmスタック高ながら239g(27cm)という軽量性。スタック増加にもかかわらず前作より10g軽い
足にやさしい着地感覚。FF LEAPが直接足裏に接し、初期ストライクは極めてソフト
改良されたアッパー。幅広のトゥボックスとストレッチ性の高いエンジニアードウーブンで快適なフィット
長距離イージーランへの保護性。ロングランで足を守りたいランナーには理想的な一足
気になる点
ペースアップ時のムーシー感。スレッショルドを超えるペースではFF BLAST PLUSがエネルギーリターンを打ち消す
ドリルや高強度トレーニングには不向き。スプリントやニーリフトなど、即応性が求められる動作には柔らかすぎる
フォアフットのバウンスポッドが足裏に当たる感触。前足部のトランポリンポッドの凹みを踏み感として感じるランナーもいる
シューズのバルクが大きい印象。実際のサイズより大きく感じるケースがあり、反対足への干渉も報告されている
マックスクッションカテゴリーでの競合多数。競合他社にも優れた選択肢があり、差別化の難しいポジションでの戦いになる
総合評価・購入判断

SUPERBLAST 3はブランドの意思決定を如実に反映した一足だ。パフォーマンス面の期待には応えないが、クッション性・安定性・快適性のトリプルを追い求めるランナーには誠実に作られたシューズといえる。「マックスクッション日常トレーナー」としての完成度は高い。ただし、SUPERBLASTシリーズのパフォーマンス志向なDNAを引き継いだシューズを求めるなら、MEGABLASTが正統後継者だ。

✓ こんな人に最適
  • マックスクッションで長距離をゆったり走りたいランナー
  • 安定性を最優先とする中距離〜ロングランランナー
  • NIMBUS等の従来クッションシューズからアップグレードを検討中の方
  • 回復ランや有酸素ランに適した快適なシューズを探している方
  • ASICS BLASTファミリーでマックスクッション寄りの一足を探している方
✗ 別のシューズを検討すべき人
  • マラソンペース〜スレッショルドでの高い応答性を求めるランナー
  • SUPERBLAST 2の「エネルギッシュな踏み感」を期待している人
  • 高強度練習・ドリル・インターバルでの使用を重視するランナー
  • 「反発があるトレーナー」を求めるならMEGABLASTを推奨

「SUPERBLASTが『もう一つのマックスクッショントレーナー』になったことは残念だが、MEGABLASTが存在することで、かつてSUPERBLASTが担っていたパフォーマンスランナーの需要は確実に受け皿があると言える」

— 本レビューの評価まとめ

画像出典:本ページの製品画像はASICS Corporation(corp.asics.com)の公式プレスリリース素材を使用しています。画像の著作権はASICS Corporationに帰属します。本記事はASICSとは独立したレビュー記事であり、ブランドとは関係ありません。
YouTube player

0 0 votes
Article Rating
Subscribe
Notify of
guest

0 Comments
Oldest
Newest Most Voted
Inline Feedbacks
View all comments